涙、滴り落ちるまで
数日後、僕と透は地上に降りて来ていた。天国の死神となった透に、仕事の説明をするために。
「――とまぁ、こんな感じかな」
僕が説明を終えると、透は「なるほど」と呟く。
「……地獄にいた時よりも、仕事の数が多いな……でも、話を聞いてる限りだと天国の方が僕に合ってる気がする」
そう言って、透は微笑んだ。
「……しかし、びっくりしたな……僕に、双子の弟がいたなんて……最初透と会った時、透の名前を聞いた時、懐かしい感じがしたんだけど……2歳の時まで、透がいたからなんだ……」
「……そうだね。僕も最初はそうだったよ。クララ様から名前を聞いた時、青髪が頭に浮かんだよ……瑠依は、両親から聞かされてなかったの?初めて会った時、僕のこと知らないって反応してから……覚えてないんだなって、思ったんだけど……」
透は、そう言って不思議そうに首を傾げる。
「……聞いてないよ……生前に僕を色んな所へ連れて行ってくれた親戚でさえも、透のことを教えてくれなかったし……僕、ずっと一人っ子だと思ってたから敢えて言わなかったのかもね」
「有り得るね……ん?この気配……」
何かに気付いた透は、そう呟いて気配がする方へと顔を向けた。
「……悪霊の気配だね。行こうか」
そう言って、透と顔を見合わせると同時に走り出した。