涙、滴り落ちるまで
「……ん?あれは……」
悪霊を浄化した後、ふと横を見てみると僕の近くでは見覚えのある男性と女性が女の子と手を繋いで、僕らの方に向かって歩いてくるのが見えた。
「……瑠依、どうしたの?」
「……あれ、父さんと母さんだ……」
「え?女の子と手を繋いでる人が?」
透の言葉に、僕は無言で頷く。僕の仕草を見て、透は「ふぅん……」と声を漏らす。
「……知ってた?お父さんとお母さん、数年前まで子どもがいたんだ」
「そうなの!?」
「双子の兄弟だったんだけど、2人とも亡くなっちゃって……すごく悲しかったな……今も、思い出すだけで泣けてくるよ……」
僕らの近くを通りながら、父さんたちはそんな会話をしてた。良く見てみると、父さんと母さん……笑って……?
「……本音を言えよ……お前ら、笑ってただろ……」
吐き捨てるように、僕は呟いた。それと同時に、僕の脳裏に僕を見つめながら笑う両親の姿が映る。
……何だろう、この記憶……僕、死んで気が付いたら天国にいたはずなんだけど……。
「……」
僕が色々考えてると、近くから大きな悪霊の気配がして僕は「……行こう」と透に向かってそう言うと走り出した。