涙、滴り落ちるまで
「……そうか。生きる理由って、生きているうちに探せばいいって、生きる理由を探すために、生まれたんじゃないかって……俺は、思う……」

「……」

「……話を変えるが、瑠依。知ってるか?お前が死ねば、俺も消える……でもな、一度人間と同じ見た目をした悪霊になってしまえば……悪霊を生み出した本人が転生しないことには、悪霊は完全には浄化出来ないんだよ」

「そうなんだ……」

「実例が少なすぎるからな……ライラしか、俺と菫の……完全な浄化方法は知らねぇよ」

そう呟いて、静瑠は木から飛び降りる。

「……話を元に戻すが、お前……どうしたんだよ」

「…………」

何も話さない僕を見て、静瑠は呆れたようにため息をついた。

「相変わらずだな。でも、お前は1人じゃねぇよ……少しは、自分の意見を言ってみろよな」

それだけ言い残すと、静瑠は姿を消してしまった。木に登っていた僕は飛び降りて地面に着地すると、ふぅ、と1つため息をつく。

……本当に、自分の意見を伝えてもいいのかな……僕は、静瑠をどうしたい?救いたい、そう思ってるの?…………分からない。でも、もし前の僕みたいに救ってほしくないのだとしたら?

「…………僕は、どうしたらいいんだろう?」

悲しい。すごく、苦しい……でも、涙は溢れて来ない……もしかして、僕がさっき腹立ったのって……不安だったの、かな……本当に出来るのかなって。
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