涙、滴り落ちるまで
「瑠依……」

1人で動かずに色々と考え込んでいると、声をかけられたから声がした方を見てみればそこには紫乃が立ってた。

いつもそこまで表情を変えない紫乃は、いつも以上に憂いを帯びた目をしていて、僕の胸が痛んだような気がした。

「……紫乃」

「ねぇ、瑠依……」

「紫乃、ごめん……僕、本当は彼をどうしたいのか……分からないんだよ」

「……そう、だよね…………僕も、どうしたらいいのか分からない……それは、瑠依が決めたらいいと思う。僕は、瑠依が決めたことに従うつもりでいる」

「……ごめん……少し、菫と話がしたいんだ…………」

「……分かった」

僕の言葉に、紫乃は何も理由を聞かずに頷いてくれる。

「……瑠依、どうしたの?ボクと話がしたいって、珍しいね?」

紫乃は……じゃなくて、菫はそう言って微笑んだ。

「……菫は、さっき僕の精神状態が安定しているから大人しいと言った……でも、僕の精神状態は安定してないよ。前よりも軽くなったとは言え、ね?」

僕は、そう言うと自分自身を嘲笑うように微笑む。

「……悪霊の菫なら、分かるよね?僕が、どれだけ苦しんでいるのか。僕が死神になったばかりの頃、晴輝から聞いた。悪霊は、負の感情を隠してても分かるって!分かるんでしょ!?なのに、何で僕の精神状態が安定しているって言えるの!?」
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