涙、滴り落ちるまで
秘めたる力
「……僕の中で眠ってる力、かぁ……」
あれから数日が経ち、特にすることもなかった僕は家の屋根に登って空を眺めていた。
静瑠は、あれから詳しく僕が持ってる力について話してくれたんだ。
僕もまだ良くは分かってないんだけど、普通の死神には扱えない呪術を使えることが出来るらしい。
「……で、普通の死神には扱えない呪術って?」
『……習うより慣れろ、だな。次に悪霊が出てきた時に、俺が教えてやる』
頭に響くのは、静瑠の声。あれから、静瑠は消えていった。その代わり、前みたいに会話が出来たり交代することが出来るんだ。
「それはありがたいけど、悪霊以外は傷付けるなよ?」
『言われなくても』
僕らがそんな会話をしてると、屋根の下から「瑠依」と僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。屋根の下を覗いてみると、仕事で地上に行ってたはずの綾が僕を見上げてる。
「……綾……?」
僕は立ち上がると屋根から飛び降りて、地面に着地すると無言で首を傾げた。よく見ると綾の服は汚れていて、さっきまで何かと戦っていたような感じだ。
「……瑠依、紫乃くんが……紫乃くんが、私たちの代わりに戦ってくれて……」
『どういうことだ?』
「…………綾、紫乃は今どこにいる?」
今の状況を聞ける状態じゃないと判断した僕は、綾から場所を聞くと地上にいる紫乃の場所に向かって走り出す。