涙、滴り落ちるまで
「……!!」

地上に着き、しばらく走ってると町には巨大な悪霊がいて、僕は思わず立ち止まってしまった。

「こんなに大きな悪霊、見たことない……」

『おい、瑠依……俺と変われ』

僕が立ち尽くしていると静瑠の声が届き、僕は「分かった」と返す。

僕が少し立ち尽くしているといつの間にか静瑠と変わっていたらしく、僕の体は勝手に動いていた。

……感覚が、いつもと違う……なんて言うんだろ、上手く説明出来ない……静瑠、いつもこんな感じで僕のことを見てたんだ……。

僕(静瑠)は一軒家の屋根に飛び乗ると、辺りを見渡す。

「……あの悪霊で、瑠依の力を教えてやる……瑠依、しっかり見とけよ!」

そう言って僕(静瑠)は刀を作り出すと、屋根から屋根へと飛び移って悪霊のもとへと急いだ。

……早く、慣れないとな……。

「……あの悪霊、まだ俺らに気付いてないみたいだな……!」

僕(静瑠)は、そう呟くと屋根を強く蹴って素早く悪霊に向かって斬りかかる。僕(静瑠)の攻撃を避けて、悪霊は素早く僕の方に向かって黒いレーザーを放った。

「……っ!」

そのレーザーを刀で弾いて、僕(静瑠)は紫乃の近くに着地する。

「……瑠依……じゃなくて、悪霊の方か……」
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