涙、滴り落ちるまで
「そういうお前も悪霊の方だろ……菫、と言ったか」

そう言いながら、僕(静瑠)は紫乃の方に顔を向けた。紫乃……じゃなくて、菫は静瑠の言葉に驚いた顔を見せる。

「瑠依、一瞬だからな。しっかり見てろよ」

『……っ!』

僕(静瑠)は片手を前に出すと、黒い穴を広げてその中に飛び込んだ。一瞬視界が暗くなって明るくなったと思ったら、僕は悪霊の背後に移動していた。

僕(静瑠)が刀を構え直すと、刃に黒い光が纏って僕(静瑠)はその刀を薙ぎ払う。

悪霊は光に包まれると僕の付けているブレスレットの中に、入っていった。

「……思っていたより弱かったな。とりあえず、交代だ」

そんな言葉を聞きながら僕がぼぅっとしていると、誰かに声をかけられたから僕は声をした方を向く。

「綾、晴輝、陽菜、透……」

そこにはボロボロの皆がいて、僕は驚いてしまった。

「……皆、大丈夫?」

僕が冷静に問いかけると、皆は無言で頷く。良かった、と呟いて微笑んだ。

「あの悪霊、一体何だったんだ?それにしても、瑠依……強いね」

そう言いながら、短剣を片手に持っていた晴輝は短剣を消しながら僕に近づく。

「……あれは、僕じゃないよ。静瑠だ」
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