涙、滴り落ちるまで
綾がそう言い切った瞬間、目の前が光って僕は思わず目を閉じた。光が収まって目を開いてみると、さっきまで皆がいたはずの場所には誰もいなくて、僕は無言でその場を見つめる。

「さっきの大きな悪霊には、使い捨ての転生の杖を仕込んでおいた!あの悪霊の攻撃を食らったら、転生の術がかかる仕組みになっていたんだよ。まぁ、誰かが倒したせいでもう使えなくなったが……」

「どうして、皆に転生の術をかけたんですか?」

「邪魔だったからだ。瑠依の周りにいる奴らがな」

ライラ様とクララ様の言い合いを聞きながら、僕はただひたすらその場で立ち尽くすことしか出来なかった。

邪魔だった?皆が?僕を嫌いになっただけで、皆は消されたの?

「…………僕のことを嫌いでも構わない。でも、関係ない皆まで巻き込むなよ……皆が邪魔だった?ふざけんなよ。僕が嫌いなら、僕だけを消せばいい話だろ……」

そう言いながら、僕はゆっくりとクララ様の方を見る。

「……どんな僕でも受け入れてくれた……初めて、心から信頼しようと思えた仲間を……消したお前だけは、絶対に許さない……」

「……」

ふと紫乃の方を見てみると紫乃は心配そうな顔をしてて、そんな紫乃を見て少し冷静になった僕は「大丈夫」と微笑んでみせた。
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