涙、滴り落ちるまで
僕が、悪霊に攻撃をしようと刀を握り直した時だった。フードを深く被った誰かが走ってきて、持ってた刀で悪霊を倒してく。

「……ソル……?」

そう呟いてみるけど、服装が違う。一体、誰なんだ……?

あっという間に悪霊は消えていて、僕は誰かの近くに着地した。僕に背を向けた誰かの腕に嵌められてるのは、黒い光を放つブレスレットだった。

黒い光を放つブレスレット……?

僕は、自分の腕に嵌められてる白い光を放つブレスレットを見つめる。

風が吹いて、誰かの被ってたフードが脱げた。風に吹かれて、誰かの水色髪が揺れる。

僕が声をかけようと顔を上げると、誰かの姿は消えていた。

「……」

僕は誰かが立ってた場所を見つめると、町を歩き出す。悪霊を探すついでに、この町を見て回ろう。これから、この町が僕の担当区になるから……。

辺りを見渡しながら、僕は人通りのない道を歩いた。しばらく道を歩いてると、大通りに出る。

大通りからは、大きな病院や学校が見えた。

僕は立ち止まって、辺りを見渡す。そして、地面を強く蹴って電柱の上に飛び乗った。そこから見えるのは、都会とも田舎とも言えない町並み。

「……思ったよりも良い町だな」

そう呟いて、僕は町を見下ろした。その時どこからか悪霊の気配を感じて、僕は顔を上げる。
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