涙、滴り落ちるまで
……駄目だ。ここで感情的になってたら、クララ様を倒すことは不可能だ。どうすれば……。

――クララ様は、根は優しい方なんだけどね……僕を拾って育ててくれたし、地上の知識を教えてくれたのはクララ様だし……。

不意に思い出したのは、昨日透から聞いたクララ様の話だった。

「……だったら、何でクララ様は仲間を?他に、理由があるのか?」

『瑠依、どうした?』

僕がそう呟くと、しばらく静かだった静瑠が声をかけてきた。

「ちょっと、気になることがあって……昨日の透の話とクララ様の話と……どうも噛み合ってない気がして……」

『言われてみれば、確かにそうだよな……根は優しいはずなのに、どうしてこんなことが出来るんだ?』

僕が考え込んでいると、僕の服の裾が引っ張られた気がして振り返る。そこには紫乃がいて、紫乃は「……菫が……」と呟いた。

「菫が、クララ様から大きな負の感情が見えるって……それを、瑠依に伝えてって……言ってる」

紫乃の言葉に、僕は未だにライラ様と話をしてるクララ様に目を移す。

『………………本当だ。俺でも、見たことないくらいの負の感情が見える』

「……僕には、何も見えないんだけど……」

静瑠の言葉に僕が苦笑すると、静瑠に『見えるのは、悪霊だけだ』と返された。
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