涙、滴り落ちるまで
「……そうだね……それで、僕は何をしたらいいの?菫が、紫乃に伝えさせるくらいなんだ。僕に、出来ることがあるんでしょ?」

『……さすがだな。瑠依に出来ること、1つだけあるぞ』

そう言って、静瑠はその方法を詳しく教えてくれる。どうやら、僕は呪術で作り出したものでジャグリングをすることによって、負の感情を落ち着かせることが出来るらしい。

「え、でも……呪術で作り出したボールでジャグリングした時、晴輝……泣いたよ?あ、胸が温かくなったからって言ってたな……」

僕はそう呟きながら、呪術を使って5個のボールを作り出した。

「……紫乃は、初めてだっけ。僕の特技を見せるの……」

両手にボールを持ちながら紫乃の方を見ると、紫乃は無言で頷く。

「……とりあえず、やるしかないよね」

そう言って深呼吸をすると、ボールを宙に投げてジャグリングを始めた。

「おい、この状況で何を……」

「……なるほど。考えましたね」

クララ様とライラ様の声が聞こえてくるけど、僕はそれを無視して空を飛び交うボールを見つめ続ける。

「……静瑠、どれくらい続ければいい?」

『俺が合図するまで、ミスをしても続けろ』

僕は「分かった」と返すと、ジャグリングに集中した。

……やっぱり、ジャグリングは楽しいな。
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