涙、滴り落ちるまで
「あ、団長。昨日連絡した通り、忘れ物取りに来たよ」

僕の目の前にいるのは、僕が前世で所属していたサーカス団の団長。僕が転生した町にこのサーカス団がやって来て、そこで団長と再会したんだ。

団長も僕が転生したことを知ってて、もう一度サーカス団に入らないかって言われて、バイトが出来るようになってから入団した。

僕はバイトとしてここにいるけど、前世と同じように休日は道化師役として観客にジャグリングを披露したりしてるよ。

団長が保管してくれていた今日提出予定のノートを団長から受け取ると、僕は母さんに渡された紙袋を団長に渡して、建物を後にする。

団員は全員知らない人だったけど、良い人ばかりだから助かってる。

「瑠依、おはよ!」

僕が通学路を歩いてると声をかけられて、僕は足を止めると声がした方を見た。そこにいたのは、毛先に白いグラデーションのかかった藤色の髪に深い青色の目をした、僕と同じ人間と死神のハーフの……幼なじみとなった紫乃がいた。

「おはよう」

僕が微笑むと、紫乃は歩き始める。僕は、慌てて紫乃の後を追いかけた。

紫乃は転生前と比べると、大分明るくなった。その代わり、菫は消えてしまったみたいだけど……でも、紫乃は気にしていないみたい。

というか、紫乃って本当に中性的な顔立ちしてるよね……転生前よりも男の子らしくはなったとはいえ、名前も相まって女の子に間違われる時あるみたい……。
< 135 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop