涙、滴り落ちるまで
ふわりと風が吹いて、僕の黒いメッシュが所々に入った青髪が揺れた。

学校に着いた僕らが上靴に履き替えていると、「瑠依くん」と声をかけられて僕は声がした方を見る。

そこにいたのは、オレンジの肩までかかる髪をツーサイドアップにした陽菜と黒い髪に緑の目の綾、その後ろに綾の幼なじみらしい水色髪の透がいた。

「陽菜、綾、透……おはよう」

それだけ言うと、僕は教室を向かうために歩き出す。3人は、同学年で高校生になってから再会した……3人は霊感もないし、クラスも違うからそこまで話はしないけど……。

僕と紫乃が並んで廊下を歩いてると、「あの!」と声をかけられて僕は声がした方を見る。そこには、黒髪に片目だけ黄色のグラデーションがかかったピンクの目の男の子がいた。

「えっと……昨日、親の都合でこの高校に転校してきたんですけど……職員室って、どこでしたっけ」

「分かりました。僕が案内しますね……紫乃、先に教室行ってて」

「……分かった」

紫乃の姿を見送ったあと、男の子を連れて廊下を歩く。

「……あの、失礼かもしれませんが……俺……1年生なんですけど、何年生なんですか?」

「1年生なんだ……僕も、1年生だよ」

僕がそう返すと、男の子は「良かった……」と呟いた。

「俺、秋元晴輝って言うんだ」

「……僕は星川瑠依。よろしくね」
< 136 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop