涙、滴り落ちるまで
「……どこから感じるんだろう」

悪霊の気配を感じれるようには、なってきたんだけど、まだ悪霊のいる方向が把握出来ないな……。

僕は電柱から飛び降りると、屋根に着地した。

「瑠依!」

僕の目の前に、ソルが着地する。ソルは僕を見つめると、口を開いた。

「……悪霊の気配がする」

「そうだね……悪霊の気配は感じるんだけど、悪霊のいる方向は把握出来ない……」

「……ここからは、そんなに遠くない……かな」

そう言って、ソルは横を見る。ソルの見てる方向に、悪霊がいるのかな?

「……っ!」

急に、僕らの目の前に悪霊が現れた。ソルは、短剣を作り出すと構える。

「……瑠依は、先にさっきの悪霊の気配を追って。俺は、この悪霊を浄化してから行く」

「悪霊を浄化……?」

「……そっか。瑠依には、説明してなかったね……説明するの忘れてた……詳しい説明は後でする。とりあえず、先に行って!」

ソルの言葉に頷くと、僕はさっきまでソルが見てた方向に向かって走り出した。屋根から屋根へと飛び移って、悪霊がいる場所を目指す。

……悪霊に近づいているからか、何となく場所は分かる。

僕は小さな広場に着地した。そこには、今まで見たことがない大きな悪霊がいる。
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