涙、滴り落ちるまで



「……なるほど、瑠依たちは未来から来たんだ……でも、瑠依には、今のこの件の記憶がない……と」

紫乃の言葉に、僕は「そうだよ」と頷く。

「……そう言えば、ボクは自己紹介してないね……ボク、紫藤菫。人間と死神のハーフだよ」

菫の自己紹介に、ライラ様は驚いた顔を見せると「……なるほど」と何かを理解したのかすぐに微笑んだ。

「詳しいことは話せないけど、未来から来た……紫乃の中にいる悪霊の菫、という認識をしてもらったらいいかな」

「……」

僕が菫の話をぼんやりと聞きながら考え込んでいると、菫に「瑠依?」と顔を覗かれて僕はびっくりしてしまった。

「いや、気になることがあって……」

僕の言葉に、菫は「気になること?」と僕から離れながら首を傾げる。

「うん。菫は、元凶は未来を変えるために過去に来たと言った。どうして、元凶は過去に来る必要があったんだ?過去に来てすぐの出来事といい、静瑠の話といい、恐らく狙いは僕だ。僕が狙いなら、未来でも良いじゃないか」

「…………多分、昔の瑠依じゃないとダメだったんじゃないかな?今の瑠依と昔の瑠依とじゃ、大きく違う何かがあったんだと思う」

昔の僕を思い出してみれば、大きく違うことが一つだけある。菫の言うことは、一理あるな。
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