涙、滴り落ちるまで
違うことがあるとはいえ、それ以外は何も変わっていない。どうして、僕を狙うんだ?それとも、心が安定していなかった僕を利用しただけなのか?

「…………ダメだ。考えれば考えるほど、分からなくなってくる……」

僕が呟くと、紫乃は「……無理に考えなくても、いいと思う……」と僕を見つめた。

「……そうだね。まずは、これからどうするかを考えないと。でも、急ぎたいかな。もしかしたら、向こうでも同じように時間が流れてるかもしれないから」

「…………あれ?瑠依?」

僕が考え込んでいると、急に紫乃が声をかけてきて、僕のもう一度紫乃を見る。

「……ごめん。その姿、久しぶりに見るなって……ライラ様から、瑠依は先に過去にいるって聞いたんだけど」

「もしかして、未来から来た紫乃かな?」

僕が問いかけると、紫乃は笑って「そうだよ」と頷いた。

「……ライラ様が、僕の中にいたらしい悪霊を浄化してくれたおかげで落ち着いて来たから、瑠依を手伝うようにライラ様から言われてね。後は、伝えたいこともあるし」

「伝えたいこと……?」

僕が首を傾げると、紫乃は「今回の件の元凶について教えてもらったんだ」と僕を見つめる。

「……元凶は、自我を持った悪霊らしい。その悪霊は心が弱ってる人に取り憑いて、取り憑いた相手や悪霊を操る能力があるみたいなんだ」
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