涙、滴り落ちるまで
「……そうか……だから、悪霊は過去に来る必要があったんだ……」

僕の呟きに、紫乃は「そうだよ……それから」と話を続けた。

「未来から瑠依が来たことによって、悪霊は出ていったみたい。近いうちに、また来ると思うけど……ん?この声は、菫?…………え?悪霊が、近くにいるの?」

不思議そうな顔をして、紫乃は横を向く。近くから悪霊の気配を感じて、僕は勢いよくライラ様の屋敷から飛び出した。

「瑠依!?」

菫と紫乃の声が同時に聞こえて来るけど、僕は悪霊の気配がする方へと走る。

……どうして、悪霊が天国にいる?そもそも、悪霊の目的は何だ?

考えながら走ってると僕が昔住んでいた村の広場まで来てて、僕は立ち止まった。すごく大きな悪霊の気配を放った黒髪の男性がいた。男性は、武器を持った綾、透、晴輝、陽菜と対峙している。

「……助けに行かなきゃ……」

もう一度走り出そうとした時、僕の腕を誰かが掴んだ。振り返ってみるとそこには紫乃がいて、紫乃は真剣な顔で僕を見ている。

「紫乃、放して……このままじゃ、皆が……」

「……あの悪霊は恐らく菫や静瑠と同じタイプで、かなり強いと思う。あの4人では、太刀打ちできないかもしれない……でも、少しは冷静になって。瑠依らしくないよ」
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