涙、滴り落ちるまで
「……」

僕は刀を作り出すと、悪霊を見据えた。

この悪霊……どれだけの時間、この地上を彷徨ったんだろうか……。悪霊は、負の感情を浴び続けることで大きくなるみたいだし……。

「……っ!」

悪霊は僕の姿に気が付くと、持ってた槍を僕に向かって振り下ろす。僕はその場から大きく飛び退いて、悪霊の攻撃を避けた。

僕は、悪霊が振り回す槍を避けてく。悪霊は見た目以上に素早い動きをしていて、僕は避けながら攻撃するタイミングを窺ってるんだけど……懐に入れそうに無いな。

「……どうしようかな……」

僕は地面を強く蹴って、近くの塀に飛び乗った。

「……ん?」

僕が悪霊と少し距離を取ったら、悪霊の動きは鈍くなったような気がする。

……試しに、もう少し距離を取ってみるか。

僕は塀から屋根に飛び移ると、そこから悪霊を見た。悪霊から見える場所にいるのに、悪霊は僕を見つめるだけで攻撃をしてこない。

……あの悪霊、高い所が苦手……なのか?

そう思いながら、僕は呪術を使って刀を僕の背丈ほどある弓に変えた。

ソルと死神の修行をしてる時、僕は光弾を放つ不思議な銃も弓も使ってみたことがあるんだ。僕は、弓の方が使いやすかったかな。

弓に呪術を使って作り出した矢を番えて、悪霊を狙った。
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