涙、滴り落ちるまで
『……はぁ?何言ってんだ。あいつは……』

「俺、ああいう奴嫌い。理由は、聞かれてもよく分かんないけどさー」

「……」

僕はその場で刀を作り出すと、呪術を使って悪霊の目の前にワープする。すぐに、僕は悪霊に向かって刀を薙ぎ払った。

「……お前……」

悪霊は手に持っていた刀で僕の刀を受け止めると、驚いた顔を僕に見せる。

「……声、大きいよ。少し離れた場所で君たちのこと見てたけど、普通に聞こえてる」

僕は悪霊の刀を弾くと、悪霊から距離を取った。

「それは、全く気が付かなかったな……お前の中にいる悪霊と変わってよ。俺、覚えてるんだよ?お前が悪霊だった頃に、お前の中にいる悪霊と戦ったことがあるんだよね」

「え?そうなの!?」

僕が驚くと、静瑠は『……そういや、そうだったな……今思い出した』と呟く。

「……初めて知ったんだけど……というか、僕……本当に悪霊だった頃があるんだ……もう10年くらいは静瑠と一緒にいるのに、何も話してくれなくて……」

『……そんなに経っているのか』

「うん……この件が解決したら、後で静瑠に問い詰めてみるか」

『……何だか、未来の俺が可哀想に思えてきた……』
< 150 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop