涙、滴り落ちるまで
「……」

僕が水色髪の子を見つめていると、水色髪の子は僕に顔を向けた。水色髪の子は、僕に降りてこい、と言いたげな仕草をする。

「……」

僕は屋根から飛び降りると、水色髪の子の目の前に着地した。

「……僕の邪魔をしないでくれる?」

無表情で、水色髪の子は僕を見る。

「何も邪魔はしてないよ。一体、君に何をしたっていうの?」

「……君は、天国の死神でしょ?天国の死神は、いつも僕らの獲物を横取りする」

「……どういうこと?」

僕が問いかけると、水色髪の子は呆れたような顔を見せた。

「……僕らの獲物って、悪霊のことだよ。僕ら、地獄の死神は悪霊を地獄送りにするんだ」

「……罪のない魂を地獄に送ってどうするの?」

「理由なんてない。クララ様の命令なんだ……クララ様の命令は、絶対聞かなきゃならない」

水色髪の子は、そう言って僕を見つめる。

「……クララ様って、誰?」

「地獄を納めてる女神様だよ。そんなことも知らないの?」

「まだ一人前の死神じゃないからね」

僕が答えると、水色髪の子は「そう……まぁいいや」と妖しく笑った。

「長話してると、後でクララ様に怒られる。そろそろ行こうかな……」
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