涙、滴り落ちるまで
透は、そう言って姿を消す。

僕は透が立ってた場所を少し見つめた後、近くで泣いている女の子に目を移した。

「……大丈夫?」

僕が声をかけると、女の子は震え出す。……刀、消すの忘れてた……。

僕は手に握られた刀に目を移すと、刀を消した。

「ごめんなさい……」

そう言って立ち上がった女の子は、僕に近づくと僕に抱き着く。

「……死んでから、ずっと悪霊から逃げてたんです。お兄ちゃん、助けて……」

女の子は、そう言って僕の服をギュッと掴んだ。僕の目の前に、悪霊が姿を見せる。

……女の子を守りながら戦うのは、1人じゃ厳しいな……とりあえず、どこかに隠れてもらわないと……。

「あの悪霊に……ずっと追いかけられてたの……」

僕から離れた女の子は、走って近くの電柱に身を隠した。僕は、呪術を使って刀を作り出す。

「……」

僕は地面を蹴って悪霊の懐に入り込むと、刀を薙ぎ払った。悪霊は、光に包まれると僕のブレスレットの中に入ってく。

「……もう大丈夫だよ」

僕がそう言いながら女の子が隠れた場所を見つめると、女の子はゆっくりと姿を見せた。

「……そうだ。自己紹介をしないと……僕は、星川 瑠依。死神なんだ」

僕は、女の子に簡単に死神のことを話す。
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