涙、滴り落ちるまで
……案内役？死神にも色んな仕事があるのかなぁ……。

「そうか」

そう呟いて、男性は僕を見つめる。

「ねぇ、この子をライラ様に合わせたいんだけど……とりあえず、今は何もせずに通って良い？」

「どうぞ」

「ありがとう」

男性に微笑んで、ソルさんは歩き出した。建物に空いてる穴を通ると、ソルさんは「ここが天国だよ」と呟く。

天国は、自然が豊かですごく温かい。霊の皆は和服を着ていて、何だか江戸時代に来てしまったみたいだ。

「……ライラ様が住んでる屋敷は、こっちだよ。ついて来て」

そう言って、ソルさんは歩き出した。僕は、ソルさんの後を追いかける。

数十分歩くと、木に囲まれた場所にひっそりと建つ屋敷が見えた。

「ここがライラ様の住む屋敷。行くよ！」

屋敷の扉の前に立ったソルさんは、「ライラ様、いますか！？」と声を出す。

少しした後、扉が開いて腰辺りまで伸びたピンクの髪にピンクの目をした女性が顔を出した。

「……ソルではないですか。どうしました？」

女性は、優しく微笑むとソルさんを見る。そして、僕に目を移して首を傾げた。

「初めまして……僕は、星川 瑠依と言います」

僕が自己紹介をすると、女性は一瞬だけ驚いた顔を見せる。
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