涙、滴り落ちるまで
「……ジャグリングって?」

「これがジャグリング」

僕がジャグリングを止めてボールを片手に持ちながら言うと、佳奈さんは「サーカスとかで見るこれが……」と僕を見た。

「そうだね」

僕が微笑むと、佳奈さんは「……ありがとう」と呟く。

「お兄ちゃん……話は変わるけど、お姉ちゃんにどうやって伝えたら良いの?」

佳奈さんの言葉に、ボールを消した僕は顎に手を乗せた。

どうやって伝えよう……死神や霊は、普通の人間じゃ見えないし……。

「……瑠依、どうしたの?」

僕が考え事をしてると、声をかけられて声がした方を見る。そこには、ソルが立っていた。

「ソル……どうして……」

「……瑠依のことが心配で見に来たんだ」

ソルは、そう言って微笑む。

……心配?僕のことが……?僕のことなんて放っておけば良いのに……。

「そっか……実はね」

そんなことを思いながらも、僕はソルに佳奈さんのことを話した。

ソルは何かを考え込む仕草をした後、僕を見る。

「死が近い人間って、死神の姿が見えることがあるんだ……だから、瑠依が伝えたらどう?」

ソルは、そう言って微笑んだ。ソルの言葉に、僕は「じゃあ、そうしようかな」と頷く。

「……絶対に死神を見えるってわけじゃないけど、君のお姉さんは自分の寿命が分かってるから……見える可能性の方が高いかな」
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