涙、滴り落ちるまで



階段を登り、佳奈のお姉さんのいる階に辿り着いた僕らは、廊下を歩く。

「……っ!」

その時、僕の目の前に大きな悪霊が姿を見せた。僕は、咄嗟に身構える。

「……」

僕の頭上を誰かが飛び越えて、僕らの目の前に立った。片手には、見慣れた短剣が握られてる。

「……ソル……」

「瑠依、ここは俺に任せて」

そう言ってソルは短剣を構えると、僕の方を向いた。

「俺が、あの悪霊を引き付ける……その間に、お前はそいつを連れてお姉さんのところへ!」

それだけ言うと、ソルは悪霊に向かって走り出す。僕は、頷くと佳奈の手を引いて走り始めた。



「……悪霊の数が多い……」

僕は、佳奈を守りながら刀で次々に現れる悪霊を斬ってく。

悪霊の攻撃が、頬を掠めた。病室に近づくほど、悪霊は強くなってる気がする。

「お兄ちゃん……大丈夫?」

「……うん」

もうすぐ、佳奈のお姉さんがいる病室に着くんだ……頑張らないと。

僕らの姿が見えない廊下を歩く職員や患者を避けながら、悪霊を倒しながら、ひたすら走った。

佳奈のお姉さんがいる病室の前で立ち止まると、僕は刀を消す。そして、霊道を開くと病室に入った。

「……」

佳奈のお姉さんは、病室にある椅子に座ってぼんやりと窓の外を眺めてる。
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