涙、滴り落ちるまで
「……分かった」

「また分からないことがあったら、聞いて。仕事で地上にいるから」

ソルの言葉に、僕は頷いた。



地上に降りた僕は、適当に町を歩く。今日は休日だからか、いつもよりも賑やかなように感じた。

「……あれ?」

僕は広場に建てられたテントが目に入って、立ち止まる。そのテントの周りには人が集まっていて、僕は気になってテントに近づいた。

「……一体、ここで何があるんだ?」

「サーカス」

僕が呟くと、近くから誰かの声が聞こえてきた気がして僕は声がした方を向く。

「……え?」

目を合わせると、僕と彼女の声が重なった。肩までかかる黒髪に、緑の目の女の子って……まさか……。

「……瑠依?」

「もしかして、綾……?」

「そうだよ……瑠依……?瑠依なんだよね……?」

今回、見守りをすることになった綾は僕を見ると泣き出す。

ん?何で泣いて……?というか、僕の姿が見えてる?

「……どうしたの?」

僕が問いかけると、綾は僕に抱きついてきた。

「死なないで欲しかった」

綾は、消えてしまいそうな声でそう言う。そして、顔を上げた。綾の目には、涙が溜まっている。

「……でも、自分で決めたんだよね……死ぬって。瑠依は、良く頑張ったよ……だから、ゆっくり休んでね」
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