涙、滴り落ちるまで
そう言って、綾は笑った。

「……」

「……瑠依、サーカスが始まるまで時間あるから……少し話をしない?」

「……良いよ!」

僕と綾は、広場の隅の方に移動する。僕は、綾と向かい合うと口を開いた。

「綾、今でも霊感が強いんだ……」

「そうみたい……霊感、消えて欲しかったな……」

綾は、そう言って困ったように笑う。綾は小さい頃から霊感が強くて、クラスメイトは綾に寄り付かなかったんだけど、霊感がないフリをするようになったら、皆が近寄るようになったんだっけ?

「あはは……」

「ねぇ、瑠依……瑠依は、何でここにいるの?天国へ行けなかったのかな?」

「違うんだ……仕事、でね……僕は、死神なんだ」

僕は、綾に簡単に死神のことを話した。

「なるほど……そういえば、1か月くらい前だったかな……瑠依を見た気がする」

綾は、顎に手を乗せて何かを考え込む。

そういえば、僕も初めての任務の時に綾に似た女の子を見かけた気がする……。

「もしかして、あの時遅刻だーって言いながら走ってった女の子って……綾?」

「確か、あの時遅刻して走ってた記憶があるから……多分私だ」

「そっか……綾って、この町に住んでたんだ……」
< 42 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop