涙、滴り落ちるまで
「……綾。僕らから離れて」

僕はその場で弓に矢を番えながら、綾に言った。綾は、頷くと近くに生えてる木に隠れる。

「……」

……思ったよりも素早いな。狙いを定めにくい……。

『使い慣れない武器を使うからだ』

「……っ!」

どこからか声が聞こえてきた瞬間、僕が構えていた弓が弾け飛んだ。

「……誰?」

僕が辺りを見渡しても、誰かがいる気配がなくて僕は小さく首を傾げる。

「……とりあえず、誰かの言う通り……使い慣れない武器は使わない方が良さそうだ」

僕は、悪霊と向き合うと刀を作り出して構えた。そして、悪霊の背後に回り込む。

隙を見つけて僕は刀を振り上げると、悪霊を斬り付けた。悪霊は、光に包まれると僕のブレスレットの中に入ってく。

「……お前、弓で悪霊を倒すんじゃなかったの?」

刀を消しながら、透は僕を見つめた。

「弓を扱うのに慣れてなくて……」

「……そっか。使い慣れてない武器は、大きな悪霊と戦う時は使わない方が良いだろうし……良い判断だったと思うよ」

そう言って、透は微笑む。

「……瑠依、悪霊の気配がしたから来てみたんだけど……」

僕の近くに、ソルと陽菜が着地した。そして、2人は透に目を移す。

「君は、地獄の死神……?」
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