涙、滴り落ちるまで
「……やぁ。今日も暇そうな案内役の死神くん」

ソルは、暇そうに頬杖を付いた死神の男性に近づく。死神さんは「……暇じゃない」とソルを見つめた。

「……それで、その子は?どうして、瑠依も一緒に……?」

「仕事の説明だよ。たまに、案内役の死神が全員不在の時あるでしょ?その時のために……」

「……そうだな。忙しい時は忙しいからな……俺は、いつも通りにすれば良いんだな?」

「うん」

「分かった……じゃあ、そこの幽霊くん。俺の前の椅子に座って」

死神さんの言葉に、祐希さんは頷くと椅子に座る。死神さんは「ちょっと待っててね」というと、立ち上がって僕に近づいた。

「……瑠依、こっちに来て」

死神さんは僕に向かってそう言うと、歩き出す。僕は、死神さんの後をついて歩いた。死神さんは、小さな扉を開くと真っ暗な部屋に入る。

扉が閉まる音がした瞬間、周りが明るくなった。部屋には、色々な物が置かれている。

「……それじゃあ、今から流れを説明するぞ」

そう言って、死神さんは僕の方を向いた。



「……瑠依さん。ありがとう……」

住む場所を死神さんに決めてもらって、正式に天国に入れることになった祐希さんは、建物に空いた穴を通った所にある泉の中に立っていた。
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