涙、滴り落ちるまで
「……ごめん……喉が乾いて……この水は、霊力をすぐに回復する力を持つんだ。だから、疲れた時は……ここに来て飲むと良いよ」

そっか……死神が呪術を使う時って、霊力を消費するんだっけ。それで……使いすぎると、倒れてしまうんだっけ。

呪術っていうのは、死神だけが使える特殊な力なんだ。武器を作り出したり、変形させることしかないけど……。

「……じゃあ、行こうか。地上に……怖がらずに俺の後を追いかけて来てよ！」

そう言うと、ソルは泉の中に飛び込む。

「え……！？ちょっと待って……！」

僕はソルの後を追いかけるように、泉に飛び込んだ。

水の中に入ると、さっきまで見えていた底が見えなくて、僕の視界は綺麗な青色に包まれているだけだった。僕は、ひたすら底の見えない水の中を沈み続ける。

「え……？」

この水の中では普通に息が出来るし、声を出すことも出来た。

……不思議だな。

「……光だ」

一筋の光が見えてきて、僕は手を伸ばす。水面が見えてきた……ということは……。

水面から顔を出すと、僕は木で囲まれた小さな泉にいた。

「……地上にある泉には、何百……いや、何千と天国と繋がるものがあって……俺らが飛び込んだあの泉は、この泉に繋がってるんだ。だから、帰る時もこの泉に飛び込まないと駄目。確か、この町はここしかなかった気がする」
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