涙、滴り落ちるまで
突然の出来事に、僕は立ち止まると目の前の光景を見つめた。それを見た悪霊は、不敵に笑う。

綾の体から飛び出した光が、僕のブレスレットの中に入っていった。

……綾が、死んだ……?

『ふふっ……もっと絶望しろ』

僕の頭に、誰かの声が響いた。透と共闘した時に聞いたのと同じ声だ。

『あの悪霊……人の死を笑ってるぜ?狂え。星川 瑠依!俺を楽しませろ!!』

「……っ!」

悪霊は、笑ったまま綾に近づく。僕は、刀を握り直すと悪霊に向かって走り出した。

「……綾に近づくな!!」

『……おやすみ』

その言葉とともに、僕の意識は途切れた。



僕が目を覚ますと、見慣れた天井が目に入る。僕は、天国にある僕の家で横になっているらしい。

「……目が覚めましたか?」

聞き慣れた声がして、僕は声がした方に顔を向けた。そこには、ライラ様が。

「ライラ様……?」

僕は体を起こすと、ライラ様を見つめる。

「瑠依は、あの悪霊を倒した後……意識を失ったんです」

「あの悪霊を、僕が?」

あの悪霊って、気配がなかった悪霊のことだよね?

僕が首を傾げると、ライラ様は「覚えていませんか?」と僕を見つめた。僕は「はい」と頷く。
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