涙、滴り落ちるまで
僕がサーカス団に入って5年が経った日だっけ。ソルと同じ目の色をした子と出会ったのは。
確か、その日は次の公演が始まるまで時間があったから、衣装を着たまま広場でジャグリングをしてたっけ。
『君、今何歳なの?』
誰かに声をかけられて、僕はジャグリングを止めると声がした方を見る。
そこにいたのはどこかの学校の制服を着たオレンジ色の目をした男性と、俯いた男の子だった。
『……10歳』
僕がそう答えると、男性は『10歳なんだ!?』と驚いた顔をする。
『……10歳には思えないくらい、素敵なパフォーマンスだったよ。いつもあまり笑わないこいつが、君のパフォーマンスを見た時だけ笑顔だった』
『……』
男の子は、ゆっくりと顔を上げると僕を見た。淡い桃色に、片方だけ黄色のグラデーションがかかった目が僕を捉える。
『えっと……君のパフォーマンス……とても、良かった……』
恥ずかしそうに顔を赤くしながら、男の子は小さな声で言った。
『ありがとう。君の目、すごく綺麗だね!良いなぁ……』
僕がそう言って微笑むと、男の子は驚いた顔で僕を見る。そして、男の子は嬉しそうに『ありがとう』と微笑んだ。