涙、滴り落ちるまで
「……」
あまり笑わないこいつ、か……。
今のソルと同じ目の色をした男の子と一緒にいた男性の言葉を思い出して、僕は黙ってソルを見つめる。
「そういえば、ソルは生前の記憶がないって言ってたけど……ソルは、どうしたいの?」
僕が問いかけると、ソルは「え?」と僕を見つめた。
「……このまま思い出さずにいるのか、生前の記憶を思い出すのか……」
「……俺は……思い、出したくない……」
そう言って、ソルは俯く。陽菜は、そんなソルを悲しそうに見つめてた。
「そっか。思い出したくなったら言って。僕らも手伝うから」
僕がそう言うと、ソルは顔を上げる。そして、ソルは優しく微笑んだ。
「ありがとう」
その笑顔は、僕が目を離したらすぐに消えてしまいそうなほど儚いものだった。
次の日、僕と綾はライラ様に呼ばれてライラ様の住む屋敷に来ていた。
「……突然、呼び出してすみません……2人に頼みたいことがありまして……」
ライラ様の言葉に、綾は「頼みたいこと……ですか?」と首を傾げる。
「はい。実は……今、とある町を担当している死神が悪霊と戦っていまして……その悪霊が強いみたいなんです。なので、今から2人には応援に向かって欲しいのですが……」