涙、滴り落ちるまで
泉のほとりに立って僕を見下ろすソルは、そう説明してくれる。

僕が泉から上がると、服や髪が濡れていないことに気が付いた。それは、ソルも一緒。

「俺も仕組みとか良く分からないんだけど、天国と繋がる泉に飛び込んだ場合は、全く濡れないし……息をしたり声を出せたりするんだ。とりあえず、町まで行ってみよう……」

そう言って、ソルは歩き出す。僕は、ソルの後を付いて歩き始めた。

「この町は、俺の担当区なんだ……だから、瑠依も死神になったら俺と同じ担当区になるかな」

そう言いながら、ソルは町を歩く。その時、僕の目の前に真っ黒な人型の何かが現れた。

「……瑠依、悪霊だ……下がってて」

呪術を使って短剣を作り出したソルは、短剣を逆手で持つ。

ソルは、悪霊に向かって走り出す。そして、腕を振り上げて悪霊を斬り付けた。ソルに斬られた悪霊は、光に包まれてソルの左腕に付いてる白い光を放つブレスレットに吸い込まれるように消えていく。

「……俺ら死神が天国に行くまでの間、このブレスレットの中で魂は眠りにつく。このブレスレットには、そんな力があるんだ……」

ソルは、そう言って自分の腕に嵌められたブレスレットを見つめた。
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