涙、滴り落ちるまで
僕は無言で頷くと、死神の説明をする。紫乃は「そうなんだ……」と驚くことなく微笑んだ。

「紫乃くんは、驚かないんだ……」

「……驚かないよ。小さい頃から、いるって……信じてたから……」

「……」

僕が初めて天国でソルに会った時、僕もソルに同じようなことを言ったような気がするな……。

「……そうなんだ……」

「先に言っとくけど……僕の未練、ないからね?」

紫乃の言葉に、夏樹さんと綾は同時に「え?」と言う。

「……僕は、死んだことを悔やんでいない……むしろ、清々したくらいさ」

そう言いながら、紫乃は不敵に笑った。そんな紫乃からは、悪霊の気配がする。

「綾、夏樹さん……紫乃から離れて!」

紫乃の周りに、黒い炎が渦巻いた。そこから姿を現したのは――綺麗な白髪に、ぱっと見たら白と間違えそうなくらい薄い紫色の目の、真っ白な服を着た紫乃だった。小脇には、真っ白な本が抱えられてる。

「……君たち、誰?」

「……紫乃……?」

「紫乃?あぁ……こいつの本来の人格か。ボクは、紫乃であって紫乃じゃない……これ以上、紫乃に近づくな」

そう言って、紫乃?は本を開く。その本から出てきた黒い光の中から、僕らに向かって沢山の光弾が飛んできた。

「……っ!」
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