涙、滴り落ちるまで
僕らは、その場から飛び退くと紫乃?を見据える。

「……ふふっ。凄いね……全部、避けれるなんて……でも、紫乃には近づけさせない」

「……っ!」

黒い光線が紫乃?が持ってる本から放たれて、それは僕に直撃して、僕は吹き飛んだ。

「瑠依!」

「大丈夫……」

僕は体を起こしながら、心配そうに僕を見る綾に微笑む。紫乃?は、無表情で僕に近づいた。

「……紫乃じゃないなら、君は誰なの……?本当に、君は悪霊なの?」

「……面白い質問だね。ボクは、菫(すみれ)。紫乃が死んだ際に生まれたもう1つの人格であり悪霊……と言った方が早いかな」

そう言って、菫は本を閉じる。

……ここまで人間にそっくりな悪霊、見たことない……。

「……瑠依と言ったっけ?」

菫は僕に近づくと、僕と目を合わせた。

「……君も、ボクと同じなんだね」

「え……?」

「ふふっ。何でもないよ……」

そう言って笑った菫は、無理やり僕を立たせると僕から手を離す。

「……さぁ、続きを――」

菫が本を開いた時、大きな悪霊が僕らの目の前に現れた。大きな悪霊は戦闘態勢になってる綾や夏樹さんに目もくれず、僕を見つめてる。

「皆、瑠依を狙うの好きだねぇ……」
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