涙、滴り落ちるまで
菫は、そう言って僕に向かって光弾や光線を放ってくる。大きな悪霊も、僕に向かって飛びかかってきた。

「……っ!!」

呪術で刀を作り出すけど、すぐに僕の刀は弾き飛ばされる。

「……」

円を描いて飛んでった刀は、菫の近くの地面に落ちた。そっと綾と夏樹さんに目を移してみれば、2人は悪霊に囲まれてる。

……どうしよう……。

「……その追い詰められた表情、ボクは好きだな……」

菫は、僕を見つめて微笑んだ。次の瞬間、大きな悪霊が姿を消す。

「……っ!」

後ろから気配を感じて、僕は後ろを向いた。いつの間にか悪霊は、僕の背後から攻撃をしようとしてる。僕はどうすることも出来ずに、その場で立ってることしか出来なかった。

次の瞬間、大きな悪霊は黒い光弾にぶつかって吹き飛ぶ。

菫の方を見てみれば、白に紫のグラデーションがかかったローブを着た藤色の髪の……紫乃が紫に青のグラデーションがかかった本を片手に立っていた。

「……紫乃……?」

「……これ以上……瑠依を、傷付けないで……菫。次、瑠依を傷付けたら……僕が、許さない……」

「自ら、悪霊の力を抑えた……?」

いつの間にか僕の隣に来た夏樹さんは、紫乃を見つめながら呟く。
< 87 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop