涙、滴り落ちるまで
「しかも、彼……悪霊と話が出来るのか……ということは、彼はこれから……悪霊の菫と二重人格、として生きることになるんだね……」

「どういうこと?」

夏樹さんの言葉に綾が首を傾げると、夏樹さんは「難しい話だから、簡単に説明するけど……悪霊と話せる人間は、二重人格になるんだ」と説明してくれた。

「……瑠依、動かないで……」

紫乃は、僕に近づくと本を開ける。紫乃が本に手をかざすと、僕の周りに光が渦巻いた。その光が消えると、痛みが引いていく。

「……僕は、戦闘は苦手だけど……回復なら任せて……」

そう言って、本を閉じた紫乃は微笑んだ。

「……それと、瑠依……これから、菫と交代する時あるけど……菫が仲間を傷付けたら、僕に言って……」

「…………分かった」

僕は地面に落ちてる刀を拾うと、紫乃を守るように紫乃の前に立つと刀を構える。

「……大きな悪霊は、瑠依と紫乃に任せてもいい?」

近くから綾の声が聞こえてきたから綾の方を見てみると、綾と夏樹さんは悪霊と対峙してた。

「……分かった……」

綾の言葉に頷くと、僕は大きな悪霊を見据えた。



「……ふぅ」

悪霊を何とか倒し終えた僕は、刀を消す。綾と夏樹さんも武器を消すと、僕に近づいてきた。
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