涙、滴り落ちるまで
「このブレスレットの中がどうなってるのかは分からないけど……死神が天国に着いた時、魂は自動的に瑠依が最初に天国へ来た時にいた……あの泉に転送されるようになってるんだ。不思議でしょ」

そう言って、ソルは微笑む。ソルの言葉に、僕は頷いた。

「……と話してる間に、新たな悪霊が出たみたい」

ソルは、そう言いながら後ろを向いた。僕が後ろを向くと、剣を持った悪霊が剣を振りかぶっていたところだった。

僕とソルは、悪霊が剣を振り下ろすタイミングでその場から同時に後ろへ飛び退く。

「……ソル。今度は、僕が1人で戦っても良い?」

そう言って、僕は呪術で刀を作り出した。

「……良いよ」

ソルは頷くと、地面を蹴って近くにある塀に飛び乗る。

僕は、刀を構えて悪霊を見据えた。そして、悪霊に向かって走り出す。

悪霊の振り下ろす剣を避けて、悪霊の懐に入り込んだ。刀を薙ぎ払って、悪霊を斬り付ける。

悪霊は光に包まれると、ソルのブレスレットの中に入っていった。

「……強くなったね。すごいよ」

塀から飛び降りたソルは、僕に近づくと優しく微笑む。

「……ありがと」

ソルに褒められても素直に受け止めれないけど、とりあえず笑っておこう。そうすれば、誰も僕が1人で抱え込んでるってことに気が付かないから。
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