涙、滴り落ちるまで
「……私は……瑠依が死神であることに、苦痛を感じてないと思うんだ。見てて分かるよ……瑠依は、死神の仕事が好きだってこと」

「……死神の、仕事が好き……?」

「うん……周りを笑顔にさせるのも、優しいが故の行動なのかなって私は思うんだ」

陽菜を見てみれば、陽菜は優しそうな表情で僕を見てる。

違う。違うんだ……僕が周りを笑顔にするのは、本当の自分を隠すためなんだ。僕は、優しくない。自分のことしか考えられない、最低な人間なんだ。

だから、だから……そんな、優しそうな顔で僕を見ないで……お願いだから。

「……」

僕は陽菜の言葉に、何も言えなくなった。僕が無言で立ってると近くから悲鳴が聞こえてきて、僕は走り出す。

僕が走っていると道にはパーカーを着た男の子が座り込んでて、悪霊が男の子に攻撃をしようとしてた。

僕は呪術で刀を作り出すと、空高く飛び上がって悪霊を斬り付ける。

「ひ……っ」

地面に着地すると、近くから小さな悲鳴が聞こえてきて僕は声がした方を見た。

男の子は、震えながら涙を流してる。僕は、持ってた刀を消すと男の子の方を向いた。

……この子、生きた人間……?

「……君、何があった!?」

近くから足音が聞こえてきて、背の高い男性が座り込んだ男の子に近付く。
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