涙、滴り落ちるまで
「ば、化け物……に、襲われて……刀を持った、この子が……」

男の子は、僕を指さしながら見つめた。男性は僕の方を見ると、首を傾げる。

「……誰もいないぞ？」

男性の言葉に、男の子は「え……？」と驚いた。男性は、不思議そうな顔で男の子を見るとどこかへと歩いてく。

「……えっと、大丈夫……？」

僕が声をかけると、男の子は「……はい」と立ち上がった。

「……あの、あなた方は何者なんですか？」

そう言って、男の子は僕と陽菜を見つめる。

「私たちは、死神なんです。霊の悩みを解決して、霊を天国に導く仕事をしています」

陽菜は、男の子に死神の説明をした。男の子は一瞬だけ驚いた顔を見せると、笑顔になる。

「だから、さっき僕に声をかけてくれた人には見えなかったんだ……僕は、佐藤 直人(さとう なおと)。中学1年生です」

そう言って、直人さんは頭を下げた。僕と陽菜も、自己紹介をする。

「…………あの、時間があればで良いのですが……僕の悩みを聞いてもらっても良いですか？」

「悩み……？良いよ。私たちで良かったら」

陽菜の言葉に、直人さんは「ありがとうございます」と微笑んだ。

「……家を出る前に兄ちゃんと喧嘩してしまって……僕、どうしたらいいのか分からなくて……」
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