君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 私が昨日、『病気だからって大切な人を嫌いになるってことは、少なくとも私には絶対にないです』って書いた内容に対する彼の返事は、こうだった。


『そう言ってくれてありがとう。でもやっぱり、好きな人だからこそ俺は病気のことを言えないかな。ごめんね、こんな相談して』


 そっか……。

 確かに、好きな人には言いづらいよね。

 心配かけたくないもん。

 だって、好きな人なんだから。

 そう思った私だったけれど、もし自分の好きな人が苦しんでいたら打ち明けて欲しいと思う。

 自分と樹くんにあてはめてみたら、自分が病気だったら樹くんには絶対に言えないけれど、樹くんが病気だったら言って欲しいなと思った。

 うーん……。

 矛盾してるけど。

 何はともあれ、すぐに返事が来たということは、彼はもう迷っていないんだ。

 彼の中では、もう結論が出ているということだと思う。

 だから私は、もうこの話について引っ張るのはやめることにした。


『そっかあ。私も病気のことよくわかってないのに、偉そうなこと言ってごめんね』


 彼にそう返事をして、私は図書館ノートを閉じる。

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