君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
約束と心配なこと

今度またふたりで

 最近、学校の近くに大きな図書館ができた。

 建設中から私は気になっていて、ずっと行きたいなあと思っていた場所だ。

 樹くんにそのことを話すと、ある日の放課後、ふたりで一緒に行くことになった。


「わー、すごい……!」


 エントランスから中に入った瞬間、館内を一望した私は感嘆の声をあげる。

 騒いではいけない場所だから、抑えめの声で。


「ほんとだ。最新の設備って感じ」


 樹くんも目をぱちくりとさせながら、きょろきょろと周囲を見渡していた。

 壁面の本棚に、天井高くまで整然と敷き詰められた数多の本。

 全部でいったい何万冊あるんだろう。

 カウンターのそばには、パソコンが何台も置かれていて、多くの人が使っていた。

 本の検索に使うことはもちろん、ネットサーフィンをしたり文書を作ったりなども自由に行えるらしい。

 窓際には、ソファ席や半分寝転んだ状態になれるカウチ席があるのが見えた。

 カフェも併設されていて、お茶をしながら読書をしている人たちもいた。

< 124 / 216 >

この作品をシェア

pagetop