君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 入り口に貼ってあった館内マップによると、DVDやブルーレイが視聴できる個室や、イベントギャラリー、レストランまであるらしい。


「ほんとだね! 私、何日でもここに居られそう……!」

「あは、栞ならそうかもね」


 樹くんは軽く笑った。

 「栞なら」。

 なんだかその言い方が、私のことをよくわかってくれているみたいで。

 そんな些細な言葉が、とても嬉しくなってしまう。

 私たちはとりあえず、館内を回ることにした。

 最初は一緒に本棚を眺めていたけれど、立ち読みをしたり自分の好きな本を探したりしているうちに、自然と樹くんは別行動になった。

 まあ、いっか。

 あとで合流すれば。

 そう思って、次々と本棚に収められている本を手にとっては、ページを開く私。

 あ、これずっと読みたかったやつだ。

 やっぱりあらすじが面白そう。

 これはこの前読んでとてもよかったお話だなあ。

 あとで樹くんに勧めてみよう。

 そんなことをしていると、ある一冊の本が目に留まった。

 ずっと前に読んだ記憶のある本だった。

 小学生の時だったかな。

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