君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 いつも超然としている樹くんが、珍しくうろたえたように言う。

 そういえば、前にプリクラ撮った時に樹くんがそれを待ち受けにしてたっけ。

 ニヤニヤしながら見てた……?

 それって本当ですか、樹くんのお母さん。

 本当なら、どういう意味のニヤニヤなんだろう……?

 あ、でも私は別に清楚系っていうか、残念ながら暗いだけだと思います。

 なんて、樹くんのお母さんの言葉に対して、言葉にできないことを胸中でいろいろ言ってしまう私。

 すると黙っていた私を見て何か勘違いをしたのか、彼女は興奮したような面持ちでこう言った。


「あ、もしかして友人以上恋人未満的な状態? キャー、いいわね~」

「……もう母さんはちょっと黙ってて。栞、なんかごめん」

「えっ、ううん。別に、その」


 謝られるのもよくわからなかったし、なんて言ったらいいかもよくわからなかったので、私は口ごもる。

 悟くんはなぜか私たちを見てニヤニヤしていた。


「これ以上変な事言わせたくないから、とりあえず家入るわ。栞、また」

「う、うん。またね」

「えー、何よお。栞ちゃーん! 今度遊びに来てね」

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