君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
不穏な気配
*
「樹くん!」
ある日の朝、教室に入るなり、彼の姿を見つけて私は駆け寄る。
樹くんが学校に来たのは、何日ぶりだろう。
たぶん、五日以上は経っていたと思う。
樹くんは私の方を見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「よっ、栞―。駆け寄ってきてくれるなんて、そんなに俺に会いたかった?」
からかうように言ってくるので、照れてしまう。
――そ、そんなの会いたいに決まってるじゃない!
だって好きなんだから……。
「し、心配だったから……」
会いたい、って言うのはさすがに恥ずかしかったから、そうやって言葉を濁す。
「樹くん!」
ある日の朝、教室に入るなり、彼の姿を見つけて私は駆け寄る。
樹くんが学校に来たのは、何日ぶりだろう。
たぶん、五日以上は経っていたと思う。
樹くんは私の方を見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「よっ、栞―。駆け寄ってきてくれるなんて、そんなに俺に会いたかった?」
からかうように言ってくるので、照れてしまう。
――そ、そんなの会いたいに決まってるじゃない!
だって好きなんだから……。
「し、心配だったから……」
会いたい、って言うのはさすがに恥ずかしかったから、そうやって言葉を濁す。