君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように

どんなあなたでも




 病院に到着すると、樹くんは集中治療室へ運ばれることになった。

 大きな病気には生まれてこの方縁がなく、入院もしたことがない私は詳しいことはわからない。

 だけど集中治療室って、重症の人が入る部屋なんじゃないっけ……。

 いまだに苦しそうに小さく呻いている樹くんが、集中治療室へ入って行く様子を見ながら、私はそんな不安に襲われていた。

 そしてその部屋の前のベンチに、私は悟くんと一緒に腰を下ろした。

 ――すると。


「こんな場面を見られたら、もう黙っておくのは無理だね」


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