君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
ずっと一緒だよ
*
手術の日。
私は手術室の前の長椅子で、樹くんのご両親と悟くんと一緒に、手術が終わるのを待った。
「栞ちゃん。結構長くかかるみたいだからさ。談話室で休んだり、一度家に帰ってもいいんだよ」
樹くんのお父さんは、私に気を遣ってそう言ってくれたけど、私は首を横に振った。
「樹くんの近くで待ちたいんです。本当は手術室に入りたいくらい……。あ、でもそれは樹くんに嫌がられちゃうかな」
冗談のつもりで言ったのに、それを聞いた樹くんのお父さんとお母さんは涙ぐんだ。
「樹は女の子を見る目があるなあ……。俺と一緒で」
「……も、もうお父さんったら」
お母さんはまんざらでもないようで、少し照れたように言った。
こんな時でも明るさを忘れないふたりが、樹くんを彷彿させる。
私はくすりと笑った。
「栞ちゃん。本当にいろいろ……もう本当にいろいろ、ありがとうね」
お母さんが私をまっすぐと見つめて言う。
お礼を言われるようなことを何かした記憶はないけれど、私の存在が少しでも役に立てられたのなら、こんなに嬉しいことはない。
「いえ……。樹くんにいろいろもらっているのは、私の方ですから」
私は抱えている図書館ノートに目を落としながら言う。
今日は私たちの運命の日なのだ。
だから、私たちをずっと見守ってくれていたこのノートにも、傍にいて欲しかった。
「それ、何?」
手術の日。
私は手術室の前の長椅子で、樹くんのご両親と悟くんと一緒に、手術が終わるのを待った。
「栞ちゃん。結構長くかかるみたいだからさ。談話室で休んだり、一度家に帰ってもいいんだよ」
樹くんのお父さんは、私に気を遣ってそう言ってくれたけど、私は首を横に振った。
「樹くんの近くで待ちたいんです。本当は手術室に入りたいくらい……。あ、でもそれは樹くんに嫌がられちゃうかな」
冗談のつもりで言ったのに、それを聞いた樹くんのお父さんとお母さんは涙ぐんだ。
「樹は女の子を見る目があるなあ……。俺と一緒で」
「……も、もうお父さんったら」
お母さんはまんざらでもないようで、少し照れたように言った。
こんな時でも明るさを忘れないふたりが、樹くんを彷彿させる。
私はくすりと笑った。
「栞ちゃん。本当にいろいろ……もう本当にいろいろ、ありがとうね」
お母さんが私をまっすぐと見つめて言う。
お礼を言われるようなことを何かした記憶はないけれど、私の存在が少しでも役に立てられたのなら、こんなに嬉しいことはない。
「いえ……。樹くんにいろいろもらっているのは、私の方ですから」
私は抱えている図書館ノートに目を落としながら言う。
今日は私たちの運命の日なのだ。
だから、私たちをずっと見守ってくれていたこのノートにも、傍にいて欲しかった。
「それ、何?」