君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 そんなの叫んじゃっても仕方ないよ!

 すると樹くんは、上半身だけ起こしてベッドに座り、マイペースにこう言った。


「え、だって栞の方からベッドに入ってきたんじゃん。俺が先に寝てたんですけど」

「ええ!? ほんとっ?」

「うんほんと」


 真顔で頷く樹くん。嘘を言っているようには見えない。

 た、確かに……。

 さっきは眠すぎて、倒れるようにベッドに入っちゃったもんね……。

 誰かがいるかどうかなんて、見ている余裕なんてなかった。

 たぶん、本当に樹くんが先に入っていたベッドに私が入ってしまったんだろう。

 そして、そのまま眠りこけてしまったんだ。

 キャ、キャー!

 わ、私ってば何してんのっ!


「ご、ごめんなさい。寝不足で眠すぎて……。樹くんがいたことに、気がつかなかった、です……」


 死ぬほど恥ずかしくって、私は顔を火照らせながら必死に謝罪する。

 すると樹くんは、面白そうに私を見た。


「いーっていーって。面白かったし」

「お、面白いって……」

「それに寝顔かわいかったし。キスしようかと思った。ってか、した」

「……っ!?」


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