君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 キャラ的に考えると、サボりかなあ? 

 なんてことを思っていると。


「あと六時間目だけかあ」


 窓の外の校庭を眺めながら、樹くんが言う。

 行われていた体育の授業が終盤に差し掛かったらしく、使った用具をみんなが片付けている光景が目に入ってきた。


「えっ……。う、うん……」


 いきなり話しかけられて、私はたどたどしく応えてしまう。

 さっきは寝起きで頭がぼんやりしていたせいか、緊張することなく樹くんと話すことができたけど、意識がはっきりしてきた私は、やっぱり人見知り、口下手だった。

 だけど樹くんは、そんな私のことなんて気に留めた様子もなく、校庭に視線を合わせたままこう言った。


「ねえ、授業めんどくね?」

「えっ……」

「一緒にサボらない?」

「サ、サボ……!? あ、あの……」


 予想外のことを言われて、またまた私は固まってしまう。

 なんて言ったらいいのか、分からない。

 授業をサボるなんてとんでもないこと、私はやったことがない。

 やろうと思ったこともない。

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