君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
教室の隅から

昔好きだった人

 樹くんと授業をサボってショッピングモールへ遊びに行った次の日。

 なんと彼は欠席だった。

 ――え?

 お休み?

 そう言えばなんでそもそも保健室に居たのか疑問だったけれど……。

 本当に具合が悪かったのかな?

 元気そうに見えたので、てっきりサボっていたのかと思い込んでいた。

 もし体調が悪かったのだとしたら、本屋なんかに付き合わせて大丈夫だったのかな。

 朝の会で先生が「七海は今日は欠席」って何気なく言った後、私は本気で心配になった。

 幸いにも、昨日樹くんとは連絡先を交換していた。

 朝の会が終わった後、私は急いで彼にメッセージを送った。


『お休みみたいだけど大丈夫? 具合悪いの?』


 送ってから、本当に病気で寝ていたんだとしたらメッセージなんて送って負担になっちゃったかな……と後悔してしまった。

 琴子以外にこんなメッセージを送るのは久しぶりだったので、どうしても深く考えてしまう。

 すると、十分後くらいにスマホが震えた。

 私は慌てて画面をタップする。


『あー、なんか今日は眠くってさ。ほぼサボりだから気にしないで~。ありがとー』


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